両親のこと(番外編)~筆不精の私が、4年以上毎日『定期便』を送り続けている理由~

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私の広島の実家には両親が健在です。父親83歳、母親82歳。つい先日孫たちの顔を見るために、わざわざ香川までやってきたことは、前回の記事で書きました。

ここで時計の針を4年数か月前に戻します。

長男コースケが誕生したのが2014年の秋のことです。予定日は11月上旬。結婚して13年間子宝に恵まれなかった私たち。待望の長男が誕生するのをを首を長~くして待っていました。

ところがそんな私のところに『母親が精密検査する事になった』という一報が舞い込んできました。たまたま大学時代の研究室の同窓会が広島に帰省する予定があり、ちょうどその翌日が母の精密検査だったので、その結果の説明に立ち会うことにしました。

検査結果を聞いたのは父親と私の二人でした。医師は慎重に言葉を選びながら話をされましたが、検査の結果は非常に悪いものでした。病名は『十二指腸乳頭部腫瘍』という極めて稀なガンで、部位としては膵臓と十二指腸と肝臓の境です。すぐに外科手術が必要とのこと。

手術が必要であることは、私から母親に伝えましたが、病状に関しては詳しく説明しませんでした。・・・というよりも、私の頭の中が整理できておらず、どう説明すればよいのか分からなかったのです。ガンの告知の仕方は難しいとは聞いてはいましたが、まさか自分がそれに直面するとは思ってもいませんでした

私の帰り際、母はとても不安そうな顔をしていました。

その日私は実家に泊まりました。いつもなら楽しい時間であるはずの実家での夕食も、父親と二人でほぼ無言。父もまた食事がのどを通らない様子でした。

別れ際の母親の顔が頭から離れず、その夜は非常に寝つきの悪い夜を過ごすことになりました。

病院で頂いた資料と、お聞きした話の記憶をたどりながら、私なりにタブレットで『十二指腸乳頭部腫瘍』について色々調べてみました。そして腫瘍の部位やら、検査の時期などを考慮すると、極めて早いタイミングでの発見であることは明らかでした。

私の頭の中で『母は十分に治ることが期待できるのではないか。』という結論に達しました。そしてそれを『母親にありのまま伝えよう』と決めました。

翌朝父親にそのことを伝えて、父親を伴って母の病室を訪ねました。ここからは私のプレゼンターとしての腕の見せ所です。

プレゼンテーション中(イメージ図)

『落ち着いて僕の言うことを聞いてね。』
『結論から言うとお母さんの病気はガンです。』
『でも十分に治ると思う。』
『ガンのできた部位は・・・』
『治る可能性が高いと思う理由は・・・』
といった具合に、タブレットにブックマークした画像を見せながら、私なりに、分かりやすく、前向きな口調で話をしました。

最初は不安そうな表情であった母親でしたが、やがて納得の表情に変わっていきました。

母親は
『もう自分は死ぬのだと思って、昨晩は眠れなかった。』
『でも話を聞いて安心した。』
『頑張って手術を受ける。』
というようなことを言ったと記憶しています。

私は『ありのままを伝えて良かった』と安堵しました。

母親の手術は10月30日と決まりました。いつ長男が生まれるかわからない状況ではありましたが、私は再び広島に帰省し、手術に立ち会いました。10時間以上も掛かる大手術となりましたが、無事成功しました。 とは言え歳が歳だけ、しかも手術の内容が内容だけに、予後に油断は出来ません。

そして長男コースケが生まれたのが11月12日。

すぐに生まれたばかりのコースケの写真をメールしたところ、入院中の母から『おめでとう。良かったね。私も今日は病院の廊下を散歩しました。』といった内容がすぐに返ってきました。

それからコースケの写真を母親にメールするのが日課となりました。

最初はそこまで考えてのことではありませんでしたが、後になって振り返ってみると、孫の様子が毎日メールされてくるのは、母親にとって何よりの妙薬であったように思います。まさに母親にとっては『生きる希望』以外の何物でもありません。

でも、ある日『さすがに毎日だと煩わしいかな?』と思い、メールするのを控えたことがあります。そうしたところ夕方になって『今日はコースケちゃんの写真が来ないけど、何かあったの?心配しています。』とのメールが来ました(苦笑)病人に余計な心配をさせるわけにはいきません。慌ててコースケの写真をメールしたのは言うまでもありません。

そしてその年の暮、母親は無事に退院することが出来ました。

それからも毎日コースケの様子をメールするのが日課として続いてます。名付けて『コースケ定期便』です。

その後2017年8月22日に、弟マサキが誕生し『コースケ&マサキ定期便』となりましたが、その後4年3か月にわたってほぼ毎日続いています。

私も送ったメールをたまに見返すのですが、非常に良い息子たちの成長記録となっています。もちろんスマホのストレージには息子たちの写真がたくさん入っていますが、あまりに多すぎて、整理が出来ていません。

しかしながら『定期便』の方は、
『初めて〇〇しました』
『今日は幼稚園の□□でした』
などなど、その時々の象徴的な出来事を、コメント付きで原則一日一本送っているので、後から見返した時に非常に分かりやすいのです。

その時々の思い出が送信メールとして、私のスマホの中い残っています。

そんな感じで、親孝行&自分のため(成長記録として日記代わりに残すため)せっせと毎日両親に孫の様子をメールし続けている次第です。

 

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自称“日本一”文章を書くのが好きなふとん屋

かつては神奈川県でカネボウ化粧品研究員をしていました(口紅やマスカラの処方開発担当)。現在は縁(婿養子)あって香川県で寝具店『西部製綿株式会社』の社長をしています。自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』です。広島県出身の熱狂的カープファン。サッカー日本代表も応援。現在51歳ですが、4歳と1歳の男の子の子育て奮闘中。しばらくは子育て記事がメインかも(笑)
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