【マットレスの選び方】『低反発』『高反発』言葉だけでマットレスを選ぶのは失敗のもと

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  •  目次
    1.低反発のマットレスと高反発のマットレス、一体どちらが良いの?
    2.体圧分散とは?
    3.低反発マットレスの長所・短所
    4.寝返りの役割とは?
    5.低反発マットレスの最大の問題点『寝返りが打ちにくい』
    6.どんなマットレスが合うか?は体型によって異なる
    7.高反発マットレスの長所・短所
    8.実際に体感してマットレスを選びましょう

1.低反発のマットレスと高反発のマットレス、一体どちらが良いの?

マットレス

最近お客様から『低反発と高反発のマットレス、一体どちらが良いの?』というご質問を最近よく受けます。

しかしながら、このご質問に一言でお答えすることは不可能です。そもそも『低反発』『高反発』という言葉だけで良し悪しを決めることはできません。さらに言えば

『低反発』『高反発』という言葉だけを鵜呑みにしてマットレスを選ぶのは失敗のもとです

この辺りを詳しく書いてみたいと思います。

1)低反発マットレスの謳い文句は『体圧分散性に優れること』
2)高反発マットレスの謳い文句は『寝返りの打ちやすさ』

『体圧分散』『寝返りの打ちやすさ』はどちらも『質の良い睡眠を取るため』にかなり重要な要素です。しかしながら

『体圧分散』と『寝返りの打ちやすさ』は、相反しがちな要素である

という事は意外と知られていないのではないでしょうか。

眠り

一般的に

柔らかめのマットレスは『体圧分散』に優れる反面『寝返り』が打ちにくい
硬めのマットレスは『寝返り』が打ちやすい反面『耐圧分散』に劣る

傾向にあります。ですからマットレスを選ぶ際には『体圧分散』と『寝返りの打ちやすさ』のバランスを見極めることが重要となります。

2.体圧分散とは

睡眠時の体圧分布

『体圧分散』とは『睡眠時(寝姿勢)において、身体と敷き寝具と接触する面の一部に圧力が集中することなく、接触面全体に均等に圧力が掛かっている状態』と定義されます。

硬いマットレスであるとか、せんべいふとんで寝た場合、背中やお尻の凸部分に体圧が集中します。体圧が集中する部分の血流が妨げられ、違和感を感じます。そのため寝返りの回数が増え、睡眠の質の低下につながります。

3.低反発マットレスの長所・短所

低反発マットレス

先ほど述べた通り『低反発マットレス』は体圧分散性に優れます。そのため確かに背中のS字カーブは隙間なく埋まります。

ただ低反発のマットレスを用いた場合、主として2つの問題が生じます。 (低反発マットレスに限らず、柔らかすぎる敷き寝具を使った場合も同様です)

①『身体の沈み込みが強い』
もちろんマットレスの柔らかさの度合いと使用者の体重の兼ね合いがありますが、 最も重い胴体部分が過度に沈み『く』の字型になってしまいます。これは特に腰の悪い人にとっては辛い状態と言えるでしょう。仰向き寝がしんどいので横向き寝が増える、あるいは仰向きで寝た場合、朝起きたら腰が伸ばせないという状態になってしまいます。

マットレスが柔らかい場合

②『寝返りが打ちにくい』

寝返りが打ちにくいことにより、どのような弊害が生じるかをご説明します。

4.寝返りの役割とは?

『寝返り』の役割は主として次の2つが挙げられます。

①敷き寝具と接触している部位で滞りがちな血流を接触部位を替えることで促進する。
②寝床内、特に敷き寝具と接触している部位にこもる熱や湿気を循環させることで寝庄内の環境を快適に保つ。

そもそも(睡眠時の)寝返りは無意識の現象です。当店に来られるお客様の中に『私は寝返りはまったく打ちません』という人がおられますが、おそらくそれはご本人が自覚していないだけで、実際には寝返りを打っているはずです。一説によるとヒトは一晩のうちに平均して約20回寝返りを打っているとか。

『ずっと動き続ける』事はもちろん疲労の蓄積につながります。しかしながらその反対『まったく動かずじっとしている』のも身体にとって大きな負担となります。

身近な例でご説明しますと、長時間正座をしていると足がしびれます。

また『エコノミー症候群』という言葉を耳にしたことがあると思います。飛行機の狭いシートで長時間動かずにじっとしていることで、体内の血流が妨げられたり、血栓が形成され、場合によって生命の危険につながる事もあるとか。

さらには寝返りと直接関係のある重篤な例としては『褥瘡』いわゆる『床ずれ』が挙げられます。

高齢者で、身体(筋力)が弱ったことにより、寝返りが打てなくなり、敷き寝具と接触している時間の長い、なおかつ身体の中で最も重い臀部(お尻)の組織が壊死してしまう状態です。 これらの例からも『動かずじっとしている』事、睡眠時に限って言えば『寝返りの打てない』事が、いかに私たちの身体に負担が掛かるかをご理解いただけると思います。

5.低反発マットレス最大の問題点『寝返りが打ちにくい』

『寝返り』をスムーズに打つために重要になってくるのが敷き寝具の反発力です。低反発マットレスの場合、文字通り反発力が極めて弱い・・・というよりも、寝返りしようとする力をむしろ吸収してしまうので、寝返りが非常に打ちにくいのです。

そのため低反発のマットレスを使った方から

『最初は気持良いと思ったけど、自分の身体の形に埋まってしまう。』
『寝返りを打つたびに“よっこいしょ”と踏ん張る感じでしんどい』

といった声をよくお聞きします。

低反発マットレス

もちろん低反発マットレスを使っておられる方の中で『気持ち良く眠っている』という人も多くおられるので、全員が上記のような感想を持っているワケではありませんが、寝返りの打ちやすさが低下するというのは、間違いない部分だと言えます。

健常者が低反発のマットレスを用いた場合、さすがに寝返りが打てないという事はありませんが、(無意識のうちに)寝返りの回数が減る、寝返りのたびに眠りが浅くなる(場合によっては覚醒する)といった弊害が懸念されます。

また、特に腰が悪くて体重の重い人が低反発マットレスを用いた場合、先ほど述べた理由で仰向きで寝ると腰に非常に負担が掛かるので、必然的に横向き寝が増えます。なおかつ寝返りが打ちにくいので、横向きでじっとした寝姿勢を取りがちで、朝起きた時『しんどい(-_-;)』という事になってしまいます。

マットレスが柔らかい場合

ここまでいろいろと書いてきましたが、一概に『低反発マットレスはダメ』と言いたいワケではありません。そこで蛇足ながら付け加えます。

6.どんなマットレスが合うか?は体型によって異なる

もし私に対して次の2つのどちらを選びますか?という“究極”の質問があったとします。

①ぺちゃんこのせんべい(敷き)ふとん1枚で寝る
②せんべいふとんの上に低反発を重ねて寝る

この場合の私の答えは迷うことなく②です。

つまり私であれば、ぺちゃんこのせんべいふとん1枚で寝るくらいなら低反発を重ねて使うことを選びます

何故なら私はやせ形(身長165㎝、体重54㎏、BMI20弱)のうえ、背中の凹凸が深いからです。せんべいふとんの上では一晩中寝返りを打つことになり、全く熟睡できません。温泉旅館などに泊まりに行った際に、せんべいふとんが出てくることがありますが、私は不眠になってしまいます(苦笑)

そしてこの“究極”の質問に対する答えとして一般的に想定されるのは、
太めの方⇒①
細めの方⇒②
というものです。

つまり
・BMI値の高い人(太めの方)ほど硬めのマットレスが合う(好む)
・BMI値の低い人(細め方)ほど柔らかめのマットレスが合う(好む)
というのが一般的です。

体型によって合う(好みの)マットレスは異なる、という事は知っておいていただきたいポイントです。

・『低反発』『高反発』という言葉だけで良し悪しを決めることはできません
・『低反発』『高反発』という言葉だけを鵜呑みにしてマットレスを選ぶのは失敗のもとです

と冒頭書いたのはこういった理由からです。

7.高反発のマットレスの長所・短所

高反発マットレス

高反発マットレスという言葉は最近よく耳にするようになりました。

『反発力が高いことにより、寝返りをサポートしてくれる』というのが『高反発マットレス』の最大のアピールするポイントです。そして『高反発=寝返りが打ちやすい』というのは 一般論としては、ほぼ正しいと思います。

そのため『低反発マットレス』よりも『高反発マットレス』の方が優れているのか?・・・というと一概にそうとも言い切れません。 ここで皆様に知っておいて頂きたいポイントは、世の中に出回っている高反発を謳うマットレスの多くは、寝心地が『硬い』ものが多いという事です。 つまりその分、体圧分散性に劣ることになります。マットレスが硬い場合極端なたとえ話になるかも知れませんが、トランポリンの上で眠る事を想像してみてください。反発力は極めて高いので寝返りは打ちやすいかもしれません。でも硬いですよね。そのため背中の凹凸にフィットしないのでかなり寝苦しいと思います。

実際、高反発マットレスを購入された方からは『購入してみたら、最初に思っていたより硬かった』という声を多く聞きます

8.実際に体感してマットレスを選びましょう

実際に体感してマットレスを選びましょう

仕事柄いろいろなマットレスのカタログやホームページを見ますが、自社商品に都合の良い記述のみがなされている場合が多い印象を受けます。

ですから、その記述のみを信じて消費者の方々がご購入されたとしても、『こんなはずじゃなかった』となってしまう場合も多いのではないでしょうか。

ですからマットレスを選ぶ際には、実際に体感して選ぶことをお勧めします。繰り返しになりますが、『低反発』『高反発』といった言葉だけを鵜呑みにしてマットレスを選ぶのは失敗の元です。

マットレス選びに関しては『フィット感=体圧分散』と『反発力=寝返りの打ちやすさ』のバランスを見極め、あなたの体型に合ったものを選ぶことが重要です。


↑快眠寝具専門店ふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)HPへのリンク(外部リンク)↑

 

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自称『日本一文章を書くのが好きな寝具店社長』

かつてはカネボウで化粧品研究員をしていました(口紅やマスカラの処方開発担当)。現在は縁あって(婿養子)香川県で快眠寝具専門店『西部製綿株式会社』の社長をしています。自称『日本一文章を書くのが好きな寝具店社長』です。広島県出身の熱狂的カープファン。現在53歳ですが、6歳と3歳の男の子のおっさんパパ。しばらくは『寝具』のことだけでなく『子育て』ネタも書くかも(笑)もと研究員だけあって若干理屈っぽいかもしれませんが、出来るだけ読みやすい文章を心がけています。
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