西川のコンディショニングマットレス[エアー]~モデルごとの違いを独自解説~
・目次
1.[エアー]の寝心地を販売店の立場から独自解説
2.[エアー]の4グレード
3.[エアー]の構造の基本的な考え方
4.[エアーSX]の構造を細分化して徹底解説
●[エアー]の特徴① 物性の異なるウレタンを組み合わせている
●[エアー]の特徴② 特殊な立体立体構造を施している
◆立体構造の特徴-1 『Xクロススリット』~通気性を高める工夫~
◆立体構造の特徴-2 『3×3ブロック』~体圧分散性を高める工夫~
5.[エアー]グレードごとの違いを解説
6.結論 グレードごとに品質の差別化に成功
この記事は
初出 2020年5月16日
加筆・修正 2020年6月20日
修正 2021年2月8日
1.[エアー]の寝心地を販売店の立場から独自解説
西川のコンディショニングマットレス[エアー]ですが、当店ではこの5月1日に導入したばかりです。
そして先日の記事でも書いた通り、私なりのアプローチで寝心地を研究してきました。そしてようやく、モデルごとの構造や寝心地の違いなども、頭の中でマトリックスが出来あがってきました。
そこで、
販売店の立場から、
メーカーサイドの情報の受け売りではなく、
『正しいことを正しく伝える』スタンスで、
分かりやすく独自解説してみたいと思います。
2.[エアー]の4グレード
エアーは主として4グレードのラインナップからなります。
[エアー01SE]
[エアー]の入門編
[エアー03]
高反発フォーム(ソムニフォーム)を採用することで反発力アップ、ワンランク上の寝心地
[エアーSI]
立体構造(3×3ブロック、Xクロススリット)が特徴、[エアーSX]登場以前のフラッグシップモデル
[エアーSX]
『体圧分散』と『反発力』を高いレベルで実現、[エアー]の最高峰モデル
3.[エアー]の構造の基本的な考え方
[エアー]は『ムアツふとん』のタマゴ状の凹凸構造を進化させ、より複雑な立体構造を施しています。
なお、西川の公式見解によると、[エアー]の原型は『ムアツふとん』ではなく『健圧敷きふとん』とのことです。
しかしながらそもそも『健圧敷きふとん』が『ムアツふとん』を原型としています。そのためやはり[エアー]は『ムアツふとん』を進化させたものというのが本質的だと、私は理解しています。
これに加えて[エアー]は物性の異なる複数のウレタンを層状に組み合わせています。
1)特殊な立体凹凸構造を施している
2)素材の異なるウレタンを層状に重ねている
上記の2点により、『フィット感』と『反発力』を兼ね備えた独特の寝心地を生み出しています。
上記は最高級モデルである[エアーSX]の断面図です。
物性の異なる3種類のウレタンを4層に重ね合わせ、さらに複雑に立体構造を施していることがご理解いただけると思います。
構造の基本となる考え方は下記の通りです。
UPPER(上層) 体圧分散部⇒背中のカーブを優しく、すき間なく埋める
BESE(下層) 寝姿勢保持部⇒余分な沈み込みを防ぎ、しっかり支える
この基本構造は、世の中にある優れたマットレスの多くに採用されているものです。
4.[エアーSX]の構造を細分化して徹底解説
上記は[エアーSX レギュラー]のカットサンプルです。
非常に複雑な構造をしているため、一見しただけでは『何がなんやら分からない』というのが正直なところです。
ここでバリバリの理系人間(大学院で神経生理学専攻、前職は化粧品研究員)の血が騒ぎ出しました(笑)
私なりの観点で、エアーの構造を細分化して理解するために、メーカーである西川さんにリクエストして、素材ごとのカットサンプルを取り寄せて、分析してみました。
[エアー]の特徴① 物性の異なるウレタンを組み合わせている
左から
①第1層 フレスフォーム
②第2層 高硬度ウレタン
③第3層 ソムニフォーム
④第4層 高硬度ウレタン
となります。
このうち②と④は比較的一般的な物性を有する『高硬度ウレタン』です。
そして特徴的なのが
①の『フレスフォーム』と
③の『ソムニフォーム』です。
①の『フレスフォーム』は、反発力はあまりありません(だからと言って低反発ではありません)。その分柔らかく、極めて高い密着性を示します。
③の『ソムニフォーム』は、[エアー]を象徴する『高反発フォーム』です。聞くところによると西川とブリジストンで共同開発したとのことです。
世間一般で言う『高反発フォーム』は、単に硬いものを『高反発』と謳っていることが多いのが実際のところです。
ところが『ソムニフォーム』はそれらとは一線を画します。
『ソムニフォーム』は、それほど硬くはありません。にもかかわらず極めて高い反発力、弾力性を示します。これは非常に特徴的な物性です。
②④の『高硬度フォーム』と③『ソムニフォーム』を比べた場合、
硬さ⇒②④高硬度フォーム>③ソムニフォーム
ですが
反発力、弾力性⇒②④高硬度フォーム<③ソムニフォーム
となります。
この『ソムニフォーム』を構造の中に組み込むことで、[エアー]に独特でラグジュアリーな反発力を付与しています。
しかも普通に考えたら、こういった高反発素材を『第2層』に入れたくなるところですが、あえて『第3層』に入れたところに工夫を感じるのは、私だけでしょうか?
カットサンプルをタテに並び替えて、私なりの解釈で各層の役割を記入したものが下の図となります。
①第1層 フレスフォーム(フィット感の向上)⇒身体を優しく支える
②第2層 高硬度ウレタン(寝心地バランス調整)⇒フィット感と寝姿勢保持のバランス調整
③第3層 ソムニフォーム(反発力の向上)⇒寝返りのサポート
④第4層 高硬度ウレタン(沈み込みの防止)⇒身体をしっかり支える
上記の役割分担は、あくまでも私独自の解釈によるものですが、おそらく本質を外してはいないはずです。
既述の通り、
UPPER(上層) 体圧分散部⇒背中のカーブを優しくすき間なく埋める
BESE(下層) 寝姿勢保持部⇒余分な沈み込みを防ぎ、しっかり支える
という基本構造になっており、この考え方は世の中にある優れたマットレスの多くに採用されているものです。
[エアー]の特徴② 特殊な立体凹凸構造を施している
これに加えて、[エアー]には独特の立体凹凸構造が施されています。
先ほど申し上げた通り[エアー]はロングセラーの健康敷きふとん『ムアツふとん』を進化させたものです。
『ムアツふとん』にはタマゴ状の凹凸構造が施されています。
タマゴ状の凹凸構造により『点で支える』敷きふとんという呼ばれ方をします。そしてこの凹凸構造により体圧分散性が高まります。
①単にフラットなウレタンフォーム
②上記と同一素材で、表面にタマゴ状の凹凸構造を施したもの
を比較した場合、①よりも②の方が表面的に柔らかくなり、体圧分散性が高まります。
[エアー]はこういった『ムアツふとん』由来の立体構造をさらに進化させています。
[エアーSX]断面図を再掲します。
表面にはタマゴ状の凹凸構造があることに加えて、随所により複雑な立体構造が施されていることがご理解ただけると思います。
立体構造の特徴-1 『Xクロススリット』~通気性を高める工夫~
下に用いる2つの図は[エアーSI]の物となりますが、立体構造そのものは[エアーSX][エアーSI]共通ですので、ご理解ください。
まず『Xクロススリット』というスリットをタテ、ヨコに施すことで、通気性を高めています。
ウレタンフォームの弱点として広く認識されているのが、夏場におけるムレ感です。実際のところ、石油由来であるウレタンフォームは吸湿性が劣ります。この点は厳然たる事実です。
特に低反発ウレタンフォームは、通気性に極めて乏しく、その上密着性が高い(背中との接触面積が増え熱や湿気がこもる)ため、夏場のムレ感は非常に高いものがあります。
こういったウレタンの欠点を補うために、[エアー]など高付加価値のマットレスに用いられるフォームには、ムマク化(フォームの中に微細な通気孔を作ることで、通気性を高める)などの処理がしばしば行われます。
『Xクロススリット』は通気性をより高めるための加工ということになります。
しかしながら、このような加工を施して通気性を高めても、ウレタン素材の『吸湿性の低さ』を根本的に解決するものではない点は、くれぐれもご理解いただきたいと思います。
そのため夏場の使用に際しては、『綿』『脱脂綿』『麻』などの素材の敷きパッドを表面に敷いて使われることをオススメします。なお、これは[エアー]に限らず、全てのウレタンマットレス(ラテックスマットレスも同様)に言えることです。
立体構造の特徴-2 『3×3ブロック』~体圧分散性を高める工夫~
私が見て、より重要な役割を果たしているのが『3×3ブロック』です。
3×3のタマゴ状の凹凸ごとに、より深いスリットが施されています。
図を見ると、重りを置いた場合、その部分だけが独立して沈みこんでいることが一目瞭然です。そしてそれ以外の部分には沈み込みが及んでいないことが分かります。つまり掛かった圧力をその部分で特異的に吸収する特性を示しています。
こういった構造があることにより、使用者の背中のカーブに対するフィット感(体圧分散性)が大幅に向上することとなります。
以上のような構造状の工夫を施すことにより、[エアーSX]が独特の寝心地を生み出していることがご理解いただけると思います。
5.[エアー]タイプごとの違いを解説
既述の通り、[エアー]は主として4つのグレードから構成されています。
[エアー01]
[エアー03]
[エアーSI]
[エアーSX]
これらは、素材の組み合わせや立体構造の施し方をグレードごとに変え、価格帯ごとに寝心地の違いが差別化できている・・・と私は思います。
しかしながら一般の方にとっては、違いが今一つ分かりにくいのではないでしょうか。そこでグレードごとの違いを分かりやすくご説明したいと思います。
[エアー01SE] [エアー]の入門編
2層目に通気性の高い『レフレフォーム』を採用しています。
しかしながらエアーを象徴する素材である『ソムニフォーム』は使われていません。そのため[エアー]の原型となった『ムアツふとん』との寝心地の差別化は限定的なものとなっています。
また[エアー01]だけは、フロアマットレスの厚みが80ミリとなっています。
当店で主力として18年間にわたって販売しているフィットラボマットレス(その前身である快圧空間敷きふとんも含む)に関して、厚みが70ミリ⇒80ミリ⇒90ミリと年代ごとに増してきました。
そしてたかが厚みが10ミリ(=1センチ)増すだけで、耐久性が向上することを実際にこの目で(販売者として、そして実際の愛用者として)見てきました。
そしてもう一点、また『エアー01]は他のモデルと比べて『軽い』です。
『軽い』すなわち『上げ下げが楽』と言いう点はメリットであると言えます。
しかしながらその反面、『軽い』すなわちウレタンの『密度が低い』ということになります。
これらから『80ミリ』という厚みに加えて、ウレタンの『密度が低い』ことにより、他のモデルと比べて『耐久性が劣る』という事実は、知っておかれた方が良いと思います。
そのため[エアー01]は当店において[エアー]の入門編という位置づけにしています。小さなお子様用としてであれば、十分長期間使えますが、もし大人の方が長期間気持ち良く眠りたいということであれば、もう1グレード上の[エアー03]のご購入を推奨します。
[エアー01SE ベーシック]
●フロアマットレス
シングル 44,000円(税込)W 97×D195×H8㎝
セミダブル 60,500円(税込)W 120×D195×H8㎝
ダブル 77,000円(税込)W 140×D195×H8㎝
●ベッドマットレス
シングル 66,000円(税込)W 97×D195×H14㎝
セミダブル 88,000円(税込)W 120×D195×H14㎝
ダブル 110,000円(税込)W 140×D195×H14㎝
[エアー01SE ハード]
●フロアマットレス
シングル 44,000円(税込)W 97×D195×H8㎝
セミダブル 60,500円(税込)W 120×D195×H8㎝
ダブル 77,000円(税込)W 140×D195×H8㎝
●ベッドマットレス
シングル 66,000円(税込)W 97×D195×H14㎝
セミダブル 88,000円(税込)W 120×D195×H14㎝
ダブル 110,000円(税込)W 140×D195×H14㎝
[エアー03] ワンランク上の寝心地
2層目に『ソムニフォーム』を採用することで反発力がアップし、ワンランク上の寝心地を実現しました。
またこのモデルからフロアマットレスの厚みが90㎜になり、耐久性もアップしました。
[エアー03 ベーシック]
●フロアマットレス
シングル 66,000円(税込)W 97×D195×H9㎝
セミダブル 88,000円(税込)W 120×D195×H9㎝
ダブル 110,000円(税込)W 140×D195×H9㎝
●ベッドマットレス
シングル 99,000円(税込)W 97×D195×H14㎝
セミダブル 121,000円(税込)W 120×D195×H14㎝
ダブル 143,000円(税込)W 140×D195×H14㎝
[エアー03 ハード]
●フロアマットレス
シングル 66,000円(税込)W 97×D195×H9㎝
セミダブル 88,000円(税込)W 120×D195×H9㎝
ダブル 110,000円(税込)W 140×D195×H9㎝
●ベッドマットレス
シングル 99,000円(税込)W 97×D195×H14㎝
セミダブル 121,000円(税込)W 120×D195×H14㎝
ダブル 143,000円(税込)W 140×D195×H14㎝
[エアーSI] 立体構造が特徴
[エアーSX]が登場するまでは、長らくエアーのフラッグシップモデルとして君臨していました。
第1層に通気性の高い『ムマクフォーム』を採用。その代わり『ソムニフォーム』は使われていません。
[エアーSI]の特徴は立体構造にあります(既述の[エアーSX]と共通です)。
1)3×3の凹凸ごとにブロック化することで体圧分散性が向上
2)Xスリット構造により通気性が向上
この立体構造が、下位モデルとの差別化ポイントです。
なお[エアーS]以上から『レギュラー』と『ハード』で価格差があります([エアー01]、[エアー03]は『ベーシック』『ハード』同一価格です)。
[エアーSI レギュラー]
●フロアマットレス
シングル 88,000円(税込)W 97×D195×H9㎝
セミダブル 110,000円(税込)W 120×D195×H9㎝
ダブル 132,000円(税込)W 140×D195×H9㎝
●ベッドマットレス
シングル 132,000円(税込)W 97×D195×H14㎝
セミダブル 154,000円(税込)W 120×D195×H14㎝
ダブル 176,000円(税込)W 140×D195×H14㎝
[エアーSI ハード]
●フロアマットレス
シングル 104,500円(税込)W 97×D195×H9㎝
セミダブル 126,500円(税込)W 120×D195×H9㎝
ダブル 148,500円(税込)W 140×D195×H9㎝
●ベッドマットレス
シングル 154,000円(税込)W 97×D195×H14㎝
セミダブル 187,000円(税込)W 120×D195×H14㎝
ダブル 220,000円(税込)W 140×D195×H14㎝
[エアーSX] [エアー]の最高峰
既述の通り、
第1層にフィット感の高い『フレスフォーム』
第3層に高弾力性の『ソムニフォーム』
を配置しました。
これにより『フィット感』と『ラグジュアリーな反発力』を高い次元で両立させています。
さらに立体構造に関しては、[エアーSI]と同様『3×3の独立ブロック』および『Xクロススリット』構造が採用されています。
[エアーSX]に関しては、最上級モデルだけあって、構造的にもよく出来ており、[エアー]の中では最も寝心地が良いモデルだと思います。
6.結論 モデルごとに品質の差別化に成功
[エアー]はグレードごとに物性の異なるウレタンフォームを組み合わせ、さらに立体凹凸構造の施し方も異なっています。
そのため、そのラインナップは一見したところ複雑なものであり、これらの違いが一般の方にとって分かりにくくなっている点も否めないように思います。
しかしながら、これまでご説明した通り、エアーは価格ごとの付加価値の違いを、上手く作り出すことに成功していると言えるでしょう。非常に優れたマットレスだと思います。
以上、[エアー]を選ぶ際の参考になさってください。
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