【マニフレックスマットレス】販売店の立場から、客観的に徹底解説してみました
- 目次
1.『低反発』全盛の時代に、初めて『高反発』を訴求したマットレス
2.高反発マットレスは寝返りが打ちやすい?
3.私の考えるマニフレックスマットレスの4大長所
4.マニフレックスマットレスを構成する2つの基本素材
5.2つの基本素材を理解する方法
6.この点にお気を付けください
この記事は
初出 2018年2月23日
加筆・修正 2019年3月26日
加筆 2019年4月4日、2019年4月16日
修正 2021年2月8日
1.『低反発』全盛の時代に、初めて『高反発』を訴求したマットレス
最近でこそ『高反発』を謳うマットレスは数多く出回っていますが、私が化粧品研究員から転身して寝具業界に入った2003年頃はまさに『低反発』全盛の時代でした。
その代表は『テンピュール』です。マットレスもさることながら、テンピュールの低反発枕は当時まさにブームでした。当店でも『テンピュール』や西川の『アイソトニックピロー』といった低反発枕を扱っていた時期もあります。当時『NASAで開発された技術を応用』などという謳い文句で、世間で華々しく売られていました。
当時私もテンピュールの枕を使ったことがありますが、どうも寝違えたような状態になってしまうことが多かったです。その理由としては
1.そもそも形状が私の体型に合っていなかったこと
2.柔らかい=姿勢支持性に乏しいため、睡眠時に首や肩を預けきれない(筋肉が十分にリラックスできない)
の2点が挙げられます。
そういった自らの経験を踏まえて、私なりに勉強したところ、低反発素材は『衝撃吸収材』としては優れていますが、睡眠時の静的な状態を支える素材としては、あまり好ましくないという結論に達しました。
当店では2004年にオーダーメイド枕の取り扱いをスタートしたのを機に、低反発枕の取り扱いはやめました。
低反発マットレスも同様で、確かに耐圧分散性やフィット感に優れますが
1.柔らかいため沈み込みが強すぎる
2.反発力に乏しいため、寝返りが打ちにくい
などの理由で、やはり睡眠時に長時間身体を預ける素材としては、必ずしも適していないように思います。
さて、マニフレックスマットレスに話を戻します。
既述のように低反発が全盛であったわが国で最初に『高反発』を謳ったマットレスがマニフレックスだったそうです(どの時期からマニフレックスが高反発を謳い始めたかは、私は正確に把握していません、どなたかご存知の方はご教示くださいませ)。
『高反発マットレスは寝返りが打ちやすい』今では当たり前に聞く表現ですが、かつては『フィット感に優れる低反発が良い』と言われていたことを考えると、このマニフレックスが我が国のマットレスに新しいトレンドを生み出したと言えるかも知れません。
2.高反発マットレスは寝返りが打ちやすい?
『高反発マットレスは寝返りが打ちやすい。』と言われています。これはまさにその通りです。
しかしながら高反発を謳うマットレスの多くは硬めの素材が多く、フィット感に劣る傾向がある事は意外と知られていません。
極端なたとえ話になるかも知れませんが、トランポリンの上で寝る事を想像してみてください。反発力は極めて高いので寝返りは打ちやすいかもしれません。でも硬いですよね。そのため背中の凹凸にフィットしないのでかなり寝苦しいと思います。
高反発マットレス⇒『寝返りの打ちやすさ○』『体圧分散性、フィット感×』
低反発マットレス⇒『体圧分散性、フィット感○』『寝返りの打ちやすさ×、体の沈み込み大』
という傾向があります。
そのため『高反発マットレス』『低反発マットレス』は正反対の性質を有しており、それぞれ一長一短があることをご理解ください。
上記はあくまでも一般論ですが、重要なポイントですのでこの点を念頭に置いていただければ幸いです。
3.私の考えるマニフレックスマットレスの4大長所
マニフレックスの公式ホームページやその他の販売サイトを見ると、マニフレックスマットレスの特徴として様々な記述がなされていますが、私から見てやや手前味噌という印象があります。
そこで『正しいことを正しく伝える』というスタンスで、私から見たマニフレックスマットレスの4大長所を挙げてみたいと思います。1から4は私の考える重要度の高い順になっています。
マニフレックスマットレスの長所① コストパフォーマンス
マニフレックスマットレスの最大の特徴は品質の割に価格がリーズナブルな点であると私は考えています。
フロアマットレス(三つ折りの敷きふとんタイプ)のベストセラーモデルである『メッシュウィング』がシングルサイズ33,858円(税込)です。
そしてベッドマットレスのスタンダードモデルである『モデル246』が39,204円(税込)です。
どちらも3万円台(シングルサイズの場合)と非常に価格がリーズナブルです。
当店のマットレスの売れ筋は10万円台ですが、これだと例えばご家族4人分ともなるとそれなりの金額になってしまいます。ご予算を抑えて寝心地の良いマットレスをお探しの方がマニフレックスマットレスを選ばれる場合が多いです。
マニフレックスマットレスの長所② ノンスプリングで廃棄が楽ラク
マニフレックスマットレスはスプリングコイルを一切使用していません。最近は自治体の中でもスプリングマットレスを引き取ってくれないところが増えてきました。
ちなみに私が住んでいる香川県観音寺市は、スプリングマットレスをそのまま持ち込んでも引き取ってくれません。引き取ってもらうためには、スプリングコイルの部分と、繊維の部分を分別する必要がありますが、これがなかなかの手間となります。そして民間の廃棄業者に持ち込むと、処分料として4、5千円かかります。
その点ノンスプリングのマニフレックスマットレスは廃棄の際の分別を必要とせず、可燃ゴミとして扱う事が可能です(ただしご家庭で燃やすことは出来ません)。
またノンスプリングなので、折り曲げがし易く、ワゴン車などであればベッドマットレスタイプであっても運ぶことが可能となります。そのため廃棄が楽ラクです。
マニフレックスマットレスの長所③ タイプバリエーション、寝心地バリエーション、サイズバリエーションが豊富
マニフレックスマットレスは用途に応じて、
①フロアマットレス(フローリングや畳に敷いて使う敷きふとんタイプ)
②ベッドマットレス(ベッドフレームの上に置いてく使うタイプ)
③オーバーレイ(現在お使いの敷き寝具の上に重ねて寝心地を補正するタイプ)
があり、その中でも数多くのバリエーションがあります。
またマニフレックスマットレスは、硬めから柔らかめまで幅広い寝心地バリエーションがあります。
これらの中でもグレードが上がる(価格が高くなる)ほど、寝心地が柔らかく、フィット感がアップする傾向にある(逆に言うと低価格のモデルは硬め=フィット感に劣る)ことは知っておいた方が良いと思います。
サイズ展開も豊富です。
フロアマットレスのスタンダードモデル『メッシュウィング』の場合
・セミシングル 幅80㎝×長さ198㎝
・シングル 幅97㎝×長さ198㎝
・シングルロング 幅97㎝×長さ210㎝
・セミダブル 幅117㎝×長さ198㎝
・ダブル 幅137㎝×長さ198㎝
・クイーン 幅157㎝×長さ198㎝
があります。
ベッドマットレスのスタンダードモデル『モデル246』の場合
・セミシングル 幅80㎝×長さ195㎝
・シングル 幅100㎝×長さ195㎝
・セミダブル 幅120㎝×長さ195㎝
・ダブル 幅140㎝×長さ195㎝
・クイーン 幅160㎝×長さ195㎝
があります。
当店で扱っている、フィットラボマットレスやゲルテックスマットレスが、
シングル 幅100㎝
セミダブル 幅120㎝
ダブル 幅140㎝
の展開のみですから、サイズ展開が豊富なのは、お客様はもちろん、販売する立場としては嬉しいポイントです(寝心地が気に入ったけど、希望するサイズがないのでご購入いただけなかったことが、これまで多々ありますので)。
上記のように、
アイテムラインナップ(フロアマットレス、ベッドマットレス、オーバーレイ)
寝心地ラインナップ(マットレス構造や硬さ)
サイズランナップ(セミシングル~クイーン)
が非常に豊富なので、
・ライフスタイル
・ご予算
・家族構成
・寝室の間取り
などに応じて、選択肢が豊富なのは、マニフレックスマットレスの大きな長所だと思います。
マニフレックスマットレスの長所④ 高反発で寝返りをサポート
マニフレックスはおそらく世の中で最初に高反発を訴求したマットレスブランドです。マニフレックスマットレスに用いられる『エリオセル』はやや硬めの素材ですが高い反発力を持ち、寝返りをサポートします。
ただし高級グレードに採用されている『エリオセルMF(マインドフォーム)』は低反発に近い性質を有しているので、『マニフレックスマットレスは高反発』という言葉だけを鵜呑みにしてご購入されると『こんなはずじゃなかった。』ということも想定されるので、お気を付けください。
4.マニフレックスマットレスを構成する2つの基本素材
分かりやすくするために単純化すると、マニフレックスマットレスの中芯は基本的に2種類の素材から構成されているとお考え下さい。
素材①エリオセル
素材②エリオセルMF(マインドフォーム)
素材① マニフレックスの象徴的高反発素材 エリオセル
『エリオセル』は硬めで高反発な特性を持つマニフレックスマットレスを象徴する素材です。エリオセルの中でさらにソフトエリオセル、エリオセル、ハードエリオセルなどに細かく分類されます。
素材② ラグジュアリー感を生み出すための柔らかい素材 エリオセルMF(マインドフォーム)
エリオセルMF(マインドフォーム)は柔らかくラグジュアリーな感触を有する素材。マニフレックスマットレスの中で上級グレードに採用されています。
素材の組み合わせで様々な寝心地を作り出す
硬めのエリオセル、柔らかめのエリオセルMF(マインドフォーム)の2種類を組み合わせて、様々な寝心地を作り出しています。基本的に廉価モデルはエリオセル(硬い素材)のみで構成されており、上級グレードになるとエリオセルMF(マインドフォーム、柔らかい素材)が採用され、ラグジュアリーな寝心地を作り出しています。
5.2つの基本素材を理解する方法
当店では
エリオセル(硬い素材)
エリオセルMF(マインドフォーム、柔らかい素材)
の素材感をご理解いただくため、以下の順番で体感いただいています。
①モデル246(エリオセル=硬い素材 100%)
モデル246は芯材がすべて『エリオセル』で出来ています。
エリオセルの硬くて、高反発な寝心地が体感いただけます。
②モデルEXⅡ(マインドフォーム=柔らかい素材 100%)
モデルEXⅡは芯材がすべて『エリオセルMF(マインドフォーム)』で出来ています。
マインドフォームの柔らかい性質が体感いただけます。
その後モデルEXⅡは廃盤となりましたが、当店には体感見本がありますので、寝心地を体感いただくことが可能です。
③フラッグFX(エリオセル=硬い素材、マインドフォーム=柔らかい素材の組み合わせ)
フラッグFXは
上層『エリオセル』
下層『エリオセルMF(マインドフォーム)』
で構成されています。2つの素材を組み合わせることで、寝心地がどのように変わるかをご理解いただけると思います。
こういった順番で体感いただくことで、素材ごとの寝心地・性質の違いを理解できるので、より精度の高いマットレス選びができると考えており、店頭では実際にこのようにしています。
6.この点にはお気を付けください
①『高反発』という言葉だけで選ぶのは失敗のもと
マニフレックスはおそらく世の中で最初に高反発を訴求したマットレスブランドです。マニフレックスマットレスに用いられる『エリオセル』はやや硬めの素材ですが高い反発力を持ち、寝返りをサポートします。
ただし先ほど述べた通り、高級グレードに採用されている『エリオセルMF(マインドフォーム)』は低反発に近い性質を有しています。
そのため『マニフレックスマットレスは高反発』という言葉だけを鵜呑みにしてご購入されると、ご使用する型の体格によっては『沈み込みが強すぎる』『寝返りが打ちにくい』と感じる場合が多々あります。『こんなはずじゃなかった。』ということも想定されるので、お気を付けください。
これはマニフレックスマットレスに限った話ではありませんが、『思った寝心地と違う』『こんなはずじゃなかった』ということの無いようにマットレス選びに際しては、メーカーや販売店の謳い文句を鵜呑みにするのではなく、実際に体感して、その寝心地に納得してからご購入されることをお勧めします。
③長期保証はどの程度あてに出来る?
マニフレックスは商品ごとに『3年保証』『5年保証』『10年保証』『12年保証』『15年保証』が定められています。
マニフレックスマットレスには『取扱説明書』『保証書』が添付されています。この保証書に保証の年数が記入されています。写真の例だと『メッシュウィング』が『10年保証』とあります。
『保証』とはすなわち、ある条件を満たした場合に『新品との交換』を意味しています。
そしてこの保証書には下記のような記述があります。
①カビ・汚れ・側地の破損・タバコによる焦げや外部からの損傷・天災などによる破損は除きます。
②『寝具としての通常の使用において、マットレス本来の復元力の低下などにより変形が生じた場合』
③『検査結果を経て、新品とお取替えを行うことを約束する』
さらに
④『保証については(まず)お買い求めいただきました販売店にご連絡ください。』
とあります。
①④はともかく②③に関しては補足が必要だと思います。
要するに『見た目が明らかに変形した場合に、その変形の度合いを検査した上で、明らかな変形が認められた場合に新品と交換します』と言っています。
しかしながらこの記述には『どの程度変形したら』すなわち『変形ヘタリによって厚みが何パーセント減少したら』の判断基準となる、明確な数値が記載されていません。
それともう一点、敷き寝具のヘタリについて補足します。
例えば『綿』や『化繊』『羊毛』などが中わたとして使用されている一般的な敷きふとんの場合、1年、2年と使用するうちに明らかに敷きふとんそのものが薄くなり、いわゆるせんべいふとん状態となってゆきます。
しかしながらマニフレックスなどウレタンの敷きふとんの場合は事情が異なります。もちろん使用に伴うヘタリは生じます。しかしながらウレタン系の敷きの場合、見た目の変化よりも硬度変化が生じます。具体的に言うと身体の中で一番重くて出っ張っている『お尻』の部分が、触るとほかの部分よりも柔らかくなってしまいます。そして見た目が明らかに薄くなるということはまずありません。
以上のような理由により、マットレス本来の復元力の低下などにより、検査結果として証明できる程度に変形する(薄くなる)というケースはほぼ起こらない。のではないかと思います。
ですから『〇年保証』とはすなわち『〇年程度使えます』という目安であるとお考えください。
③真空ロールパックが膨らまないことがある⁉
マニフレックスの特徴の一つに真空ロールパックが挙げられます。
この真空ロールパックは開封後徐々に膨らみ、気温等によっても異なりますが、約1日程度かけて本来の硬さにまで復元します。ですから当店でご購入いただいた場合、お客様に『今日からお使いいただくことが可能ですが、今晩は膨らみ切っていないので、本来の寝心地よりも柔らかいはずです。本来の寝心地になるのは明日の夜からだと思ってください。』ということをお伝えしています。
しかしながらごくまれに、自然解放では完全に膨らみ切らないという事態が生じます。その場合の多くが、側生地と中芯のウレタンがへばりついた状態になっており、そのことがウレタンが膨張するのを妨げていることに起因します。この場合は『側生地を引っ張って、中芯のウレタンとのへばりつきをはがす』ことで簡単に解決します。
しかしながら製造から時間が経っていて真空ロールパック状態に長期間置かれた場合などに、上記の対応だけでは膨らみ切らない場合がごくまれに生じます。
また今から4、5年前にフィレンツェスーパーウィング(現在は廃盤)のあるロットで膨らみが悪いという事態が頻発したことがあります。この時の原因は使っている接着剤に問題があったことが原因だったと聞いています。
これらの場合にはより高度な対応が必要です。
具体的には『スチームアイロンを用いて、膨らみが悪い部分に熱を掛けながら蒸気を吹き込む』という少々荒っぽいやり方をすると、比較的簡単に膨らみます。しかしながらこれは一般の方にとっては、難易度が高いと言いますか、不安が生じるやり方なのではないかと思います。ですからこういった場合には、購入されたお店に申し出て対応してもらうことをお勧めします。(当店ではこの対応を過去5回ほど実施しています)
④在庫切れが多いという問題
マニフレックスマットレスはイタリアから、真空ロールパック状態で船便にて輸入されます。そのため在庫切れが頻繁に起こります。
当店で扱っているフィットラボマットレス(メーカー:西川、国内製造)の場合、在庫が切れても2週間程度で製造され入荷しますが、マニフレックスマットレスは2か月待ち、3か月待ちという状態がよくあります。特にイタリアではサマーバカンスで下記に長期休暇を取る国民性であるため、秋口に在庫切れが多い印象です。
またマニフレックスがテレビなどで取り上げられた後は、販売数量が伸びて在庫切れを起こしやすいです。
テレビ東京【白熱!ランキング】マットレス部門(2018年5月8日放映 ワールドビジネスサテライト)でマットレスランキング1位に選ばれた後の、2018年の夏から秋にかけて、おそらく全国的に売れたのだと思われますが、かつてないくらいの在庫切れを起こしました(汗)
そしてその後も、現在に至るまで、日常的に在庫状況が歯抜け状態が続いています。
ちなみに当店は、マニフレックスマットレスの正規販売店『マニステージ四国中央・観音寺』です。
当店にお客様がご来店されたら、この表を片手に接客しています。せっかく『これに決めた!』と言っていただいても、在庫がなく『次回入荷はいつになるか分かりませんから』では申し訳ありませんので。
以上のような事情で『このモデルのこのサイズが欲しい』と思われても、どこにも在庫がないという状態が日常茶飯事です。
もしマニフレックスマットレスを欲しいと思われた場合、在庫があるのであれば、その機会を逃さず買っておいた方が良いかもしれません。
四国各地からのアクセス良好
・高松中央ICより50分
・松山ICより80分
・徳島ICより90分
・高知ICより60分
どうぞお気軽にご来店ください。
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