【ふとんのお手入れ】実験 10年使った羽毛ふとんがどれだけ汚れているのか?
- 目次
1.カバーを掛けていれば中のふとんは汚れない?
2.いざ実験開始
3.結果発表
4.汗の汚れを取り除くには、干す?ふとんクリーナー?
5.ふとん水洗いがおススメ、でも・・・
6.ふとん水洗いクリーニングは専門家にご相談ください
1.カバーを掛けていれば中のふとんは汚れない?
『肌着は毎日洗うのに、ふとんは10年間干すだけ』という人いませんか?
『カバーを掛けて、カバーをこまめに洗っているから・・・』と皆さんおっしゃいますが、 果たして本当にそれだけで良いのでしょうか?
長年使ったふとんが汚れていることは、見れば一目瞭然。
でも一体どのくらい汚れているのか?より説得力のあるカタチでお見せするために、実験してみることにしました。
2.いざ実験開始
元カネボウ化粧品研究員の血が騒いだ・・・というワケではありません(笑)。実験と言ってもさほどに難しいものではありません。
用意した物① 古い羽毛ふとん
実際にお客様から引き取った羽毛ふとんです。実際の使用年数は不明ですが、15年以上は使った品だと思われます。もちろんその間ずっとカバーを掛けて使っておられたとの事です。
用意した物 ②洗い桶
それではいよいよ実験開始です。
まずは羽毛ふとんを桶の中にぎゅっと押し込みます。もちろんゴム手袋をつけて完全防備。
次に桶の中に水を張ります。
そして手もみ洗い開始。
果たしてどれだけ汚れているのか?気持ち悪いのをぐっとこらえて一所懸命に洗います。
羽毛ふとんをひっくり返してさらに丹念に洗います。
準備したもの③ ペットボトル
さてまもなく結果発表。
3.結果発表
これが約15年間、カバーを掛けて使っていたけど、干すだけで、一度も洗っていない羽毛ふとんの汚れです!
やらせは一切ありません。あまりの汚れに私もびっくり仰天です。でもよくよく考えてみれば当たり前の話です。私たちは真冬でもコップ1杯の汗をかいています。夏場ともなればその数倍の汗の量になります。
そして汗の中には『塩分』『金属』『アンモニア』『尿素』などの汚れ成分が含まれています。また厳密には汗の成分ではありませんが『皮脂』や『垢(あか)』などの成分も混在しています。もちろんこういった汚れの大部分はカバーが防いでくれますが、100%ではありません。
日々少しずつ少しずつ、汚れ成分はふとんに移り、そしてその積み重ねがこれだけの汚れになってしまうのです。
4.汗の汚れを取り除くには、干す?ふとんクリーナー?
これらの汚れは、干すだけでは一切取り除くことが出来ません。考えてみれば当たり前の話ですよね。干す事で取り除く(飛ばす)ことが出来るのは湿気だけです。
今流行のふとんクリーナーでも取り除くことは出来ません。ふとんクリーナーで取り除くことが出来るのは、表面のほこりなどだけ。汗由来のふとんの汚れはふとんクリーナーでは一切取り除くことはできません。
5.ふとん水洗いがおススメ、でも・・・
ふとんの汚れを取り除くための基本は水洗いです。
しかしながら正直申し上げて、ご家庭で洗うのはかなり難しいと思います。一部ウォッシャブルタイプの肌ふとんなどもありますが、基本的にはご家庭の洗濯機で洗うことはやめておくことをオススメします。
次の選択肢として浮かぶのがコインランドリーです。コインランドリーであれば大きな洗濯機と乾燥機がありますので、ご家庭よりは環境は整っています。しかしながら以下のリスクがあることを知っておいてください。
1)中綿の偏り 特に綿のふとんに多いのですが、中綿が偏ってしまってふとんが変形してしまい、乾燥しても元に戻りません。もし綿のふとんをコインランドリー等でご自分で洗われる際には、中綿の偏りを防ぐために必ず紐で“す巻き状”に、きつくしばってから洗ってください。
2)乾燥不足による嵩減り これは羽毛ふとんや綿ふとんでよく起こります。私もかつて実験のために羽毛ふとんをコインランドリーで洗ったことがありますが、なかなか乾きませんでした。そのためかなりの時間と追加料金が掛かってしましました。乾燥不足のまま使用すると、羽毛や綿が嵩減りして保温性が著しく低下します。
3)タンブラー乾燥による生地の傷み 熱を加えながら回転させることによる摩擦で生地が劣化します。もちろんそれだけで破れてしまうことは滅多にないかもしれません。しかしながらふとんの側生地は、通常仕様のでも徐々に経年で劣化してしまうもの。それに加えてタンブラー乾燥の摩擦により、劣化を早めてしまう結果となります。羽毛ふとんの場合ダウンプルーフ加工(中の羽毛が出にくくする加工)が緩んで『中から羽毛が吹き出してくる』という現象が起こりやすくなります。
そのためコインランドリーでのふとん水洗いは、緊急事態の場合を除きお勧めしておりません。
一方、介護等で『ふとんが頻繁に汚れる』という方に関しては、その都度コインランドリーで洗うという対応が避けられない場合があると思います。そういった方には、速乾性があって丈夫な『ポリエステル綿』のふとんを使うことをお勧めします(ただし保温性や快適性は犠牲になりますが)。
6.ふとんの水洗いクリーニングは専門家にご相談ください
ふとんの洗いに関しては、『ふとん水洗いクリーニングの取り次ぎ』をしている、最寄りの寝具専門店やクリーニング店にご相談ください。
その中でも、手前味噌な言い方になるかもしれませんが、寝具専門店にご相談することをオススメします。その理由としては、寝具専門店の方がふとんに対する知識が豊富だからです。
寝具専門店、いわゆるふとん屋の場合、単に水洗いクリーニングを取り次ぐだけでなく、
・綿ふとんの場合だと『打ち直し』
・羽毛ふとんの場合『羽毛ふとんリフォーム』
といった仕立て替えなど、ふとんの状態に応じた最適なご提案を受けることが出来る場合があります。
人生の3分の1の時間を費やす眠り、そのパートナーであるふとんをより良い状態でお使いいただくために、寝具のプロにご相談されてはいかがでしょうか。
↑快眠寝具専門店ふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)HPへのリンク(外部リンク)↑
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